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大腸肛門病専門医編
昭和15年に創設された『日本直腸肛門病学会』が、 昭和42年に『日本大腸肛門病学会』に改称され、平成元年から『専門医認定制度』が発足されました。
大腸肛門病専門医に求められるのは、痔核・裂肛・痔瘻などの肛門疾患、直腸脱・直腸瘤などの直腸疾患、肛門周囲皮膚炎・毛巣洞などのその他の肛門疾患、便秘・過敏性腸症候群などの大腸機能障害、潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患、大腸がん・大腸ポリープなどの大腸肛門病の診断・治療の知識と大腸内視鏡検査の技術です。
大腸肛門病専門医には3つあります。「Ⅰ:内科・放射線科系」・「Ⅱa:外科・大腸領域」・「Ⅱb:外科・肛門領域」の3つです。2014年現在、概算ですが、日本の医師は約30万人です。その中で、日本大腸肛門学会認定の大腸肛門病専門医は全国に約1600人です。その中で、肛門領域の専門医は全国に約300人です。
「恥ずかしい」・「怖い」を乗りこえて、肛門科を受診するときは、肛門領域の専門医である大腸肛門病専門医(Ⅱb)のいる大腸肛門科を受診してくださいね。
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肛門の診察編
まずは、問診票を記入していただきます。主訴・基礎疾患・お通じの状態などを確認させていただきます。
混雑時でなければ問診票を見ながら看護師の予診もあります。問診票・予診を参考に先生の診察が始まります。肛門鏡でお尻の状態を確認した後、先生から説明があります。痔の原因・現在の状態・今後の治療など詳しく説明させていただきますね。 -
肛門鏡と吸角編
肛門鏡は肛門の中を見るための器具です。人差し指で潤滑ゼリーを塗りながら肛門を触診した後、肛門鏡を挿入し肛門の中を見ます。患者さんもモニターで痔核(いぼ痔)や裂肛(きれ痔)を見ることができます。
吸角は繰り返し脱出しているような痔核(いぼ痔)を吸引して脱出させることで脱出の程度などを評価するための器具です。が、最近は排便後や怒責後の脱出した状態を自撮り画像で確認できるので、登場機会が激減しています。
以前からの脱肛でお悩みの患者さんは、脱出した状態の自撮り画像を確認させていただけると診断にとても役立ちます。
ご協力よろしくお願いしますね。 -
肛門の解剖編
直腸さんは、どんなうんちさんが来たのかを括約筋さんに知らせてくれます。
便秘などで負担がつづくと、たるんで直腸粘膜脱・直腸脱になります。内括約筋さんは、いつもお尻を閉めてくれています。
直腸さんから知らせを受けると、お尻を開けてうんちさんを通してあげます。外括約筋さんは、おならやゆるいうんちさんなどを我慢するときにお尻を閉めてくれます。
肛門管さんは、お尻の出口です。硬いうんちさんなどによるきれ痔の被害者です。
内痔静脈叢ちゃんは、内痔核の赤ちゃんです。
便秘などで無理がたたると、大きくなって内痔核になります。外痔静脈叢ちゃんは、外痔核の赤ちゃんです。
便秘などで急に負担がかかると、急に腫れて血栓性外痔核になります。肛門腺ちゃんは、肛門周囲膿瘍・痔瘻の赤ちゃんです。
肛門陰窩さんから、細菌が入って感染すると肛門周囲膿瘍・痔瘻になります。 -
お尻の三大疾患編
痔核は便秘などで肛門の開閉に大切な静脈叢(静脈の集まり)などのクッション組織が大きくなり、
脱出・出血・腫れ・痛みなどの原因となる病気です。
ゆっくりと肛門の内側にできて、脱出・出血などの原因となるのが内痔核です。
脱出がつづくと、痔核発作・嵌頓痔核となり強い腫れと痛みを伴います。
急に肛門の外側にできて、腫れ・痛みなどの原因となるのが(血栓性)外痔核です。裂肛は便秘の硬い便や下痢の水便などで肛門に傷ができる病気です。
排便時の痛みと出血が特徴です。新しく軟らかい傷が急性裂肛です。古く硬い傷は慢性裂肛です。肛門周囲膿瘍は肛門周囲の肛門腺に細菌が感染し膿がたまり、
腫れ・痛みなどの原因となる病気です。
肛門周囲膿瘍の約半分が感染巣が残り痔瘻(膿のトンネル)となります。 -
痔核(いぼ痔)編
こっそりいぼ痔さん(Ⅰ度内痔核)は、内痔静脈叢が少し大きくなったものです。
ほとんどの場合は脱出・脱出感・違和感を感じることはありません。
ごく稀に出血することはありますが、保存的加療で治ります。
もちろん、注射療法や手術の適応もありません。
しかも、ほとんどのおとなのお尻で、こっそりいぼ痔さんに出会えますよ。やっぱりいぼ痔さん(Ⅱ度内痔核)は、内痔静脈叢が大きくなって、
排便時に脱出するようになったものですが、自然に戻ります。
脱出感・違和感を感じることがあります。
出血することもありますが、ほとんどは保存的加療で治ります。
もちろん、ほとんどは注射療法や手術の適応もありません。
保存的加療で症状に改善のない時には、注射療法や手術が必要となるので、
やっぱりいぼ痔さんと呼んであげましょうね。しっかりいぼ痔さん(Ⅲ度内痔核)は、内痔静脈叢が大きくなって、
排便時に脱出するようになったもので、自然に戻りません。脱出・脱出感・違和感を感じます。
出血することもあります。戻してあげないと、痔核発作・嵌頓痔核になって、強い痛みを伴います。
保存的加療で治らないものもあります。
保存的加療で治らないものには、注射療法や手術が適応となるので、
しっかりいぼ痔さんと呼んであげましょうね。いっつもいぼ痔さん(Ⅳ度内痔核)は、内外痔核とも呼ばれます。内痔静脈叢が大きくなって、
外痔静脈叢と一緒になったものです。いつも脱出していて、戻そうとしても戻りません。
脱出・脱出感・違和感を感じないこともあります。出血することもあります。
ほっておくと肛門括約筋不全の原因になります。保存的加療では治りません。
また、注射療法の適応もありません。手術の適応となります。
が、手術を受けるかどうかは患者さんが決めることです。
いっつもいぼ痔さんと呼んであげましょうね。むりむりいぼ核さん(嵌頓痔核)は、痔核が脱出し戻らなくなったものです。
排便時に軟らかいいぼが出て、戻らなくなり腫れとつよい痛みをともないます。
痛みで括約筋が緊張しすぎて強く絞まるので、ますます痛いです。
いぼが壊死したり、出血することもあります。
はじめてなら、保存的加療で治ることもあります。が、手術が必要となることも多いです。
手術の適応になるかならないか、強い痛みの中で説明されるので、
それどころではないので、むりむりいぼ痔さんと呼んであげましょうね。ぐりぐり外痔核さん(血栓性外痔核)は、急に外痔静脈叢が大きくなって、
排便と関係なく腫れと痛みがあります。
まれに出血することもあります。が、保存的加療で治ります。
もちろん、注射療法や手術の適応もありません。
保存的加療で、数日間で症状は改善し、数週間で治ります。
おすすめはしませんが、血栓摘出術も可能です。
腫れてしこりになるので、ぐりぐり外痔核さんと呼んであげましょうね。 -
裂肛(きれ痔)編
新米きれ痔さん(急性裂肛)は、便秘の硬い便や下痢の水便などで、肛門管さんにできた新しく軟らかい傷です。排便時に痛みが出たり、出血することがあります。ほとんどは保存的加療で治ります。もちろん、手術の適応もありません。再発の予防にはお腹とお尻にやさしいお通じが大切です。
便秘や下痢を繰り返していると、新米きれ痔さんは古株きれ痔さんになっちゃいますよ。古株きれ痔さん(慢性裂肛)は、便秘や下痢の繰り返しで、肛門管さんにできた古く硬い傷です。排便時に痛みや出血をともないます。ほっておくと肛門狭窄の原因になります。肛門ポリープ・瘢痕形成・見張り疣・肛門狭窄を伴うものでも、排便習慣の改善と保存的加療で、症状が軽快すれば、手術の適応はありません。排便習慣の改善と保存的加療で、症状が改善しなければ、手術の適応となります。肛門ポリープさんや見張り疣さんを引き連れているので、古株きれ痔さんはお局きれ痔さんかもしれませんね。古株きれ痔さん(慢性裂肛)の傷から細菌が感染すると見張り疣さんに膿がたまって、Ⅰ型痔瘻さんになります。
温水洗浄便座の水圧がきれ痔さん(裂肛)の原因になることもあります。
新米きれ痔さんを古株きれ痔さんに格上げしないように、排便習慣の改善を心掛けましょうね。
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痔瘻(あな痔)編
肛門陰窩さんから細菌が入って、
肛門腺ちゃんに感染し膿がたまると、肛門周囲膿瘍さんになります。
外側に広がり腫れ・痛みをともなうものが、おちびの肛門周囲膿瘍さん(低位痔瘻)です。
内側に広がり肛門や肛門の奥の違和感・痛みをともなうものが、
のっぽのかくれ肛門周囲膿瘍さん(高位痔瘻)です。保存的加療では治りません。
すぐに応急処置として切開排膿術(膿を出す手術)が必要となります。
ほっておいて感染が重症化すると敗血症(命にかかわる感染症)などの原因となることもあります。
適切な切開排膿術であれば、手術前より痛みは明らかに改善します。肛門周囲膿瘍さんが自然排膿したり切開排膿術を受けたりしてできた、
トンネル状の感染ルートが痔瘻さん(あな痔)です。
裂肛の傷から感染し、皮下の浅いところに膿がたまりできたのが、Ⅰ型痔瘻さんです。
肛門陰窩から感染し、内外括約筋の間に膿がたまりできたのが、Ⅱ型痔瘻さんです。
肛門陰窩から感染し、内外括約筋の外側に膿がたまりできたのが、Ⅲ型痔瘻さんです。
肛門陰窩から感染し、骨盤側に膿がたまりできたのが、Ⅳ型痔瘻さんです。
保存的加療では治りません。根治のためには、必ず手術が必要となります。
長期的には痔瘻癌などの発症のリスクもあります。痔瘻癌の予後は不良です。
痔瘻になれば、必ず手術を受けてください。また、痔瘻があれば、クローン病の疑いもあります。
多発する痔瘻やなかなか治らない痔瘻(再発する痔瘻)があれば、
大腸内視鏡検査も受けてくださいね。 -
直腸脱・直腸粘膜脱編
こっそり直腸粘膜脱(症候群)さんは、過度の努責(長く・強くきばる)の繰り返しから前側の
直腸粘膜がたるみ、残便感・頻便感などの原因となる病気です。残便感・頻便感などから、
排便時以外の努責を繰り返すと炎症を起こし、ただれて出血したり、潰瘍が出来ることも
あります。
過度の努責の中止・生活指導・食事指導・排便指導と軟膏・内服などの保存的加療で効果
がなければ、手術などが必要となることもあります。患者さん自身が、直腸粘膜脱について
理解することも大切です。残便感・頻便感の原因が分からないことが多いので、こっそり直腸
粘膜脱(症候群)さんですね。脱出するようになるとやっぱり直腸粘膜脱さんですね。やっぱり直腸粘膜脱さんは、排便時に直腸粘膜の一部が脱出して、残便感・頻便感などの
原因となる病気です。保存的加療では治りません。きっちり治すには手術が必要となります。
が、保存的加療で症状が改善すれば、手術を受けるかどうかは患者さんが決めることです。
脱出をともなう、残便感・頻便感なので、やっぱり直腸粘膜脱さんですね。しっかり直腸脱さんは、排便時に直腸粘膜の全周が脱出して、脱出・出血・便失禁などの原因と
なる病気です。保存的加療では治りません。きっちり治すには手術が必要となります。ひどくな
ると立ったり歩いたりするだけで脱出します。脱出がつづくと括約筋さんが弱って肛門括約筋
不全になります。が、手術を受けるかどうかは患者さんが決めることです。
すぐに脱出し、あるいは脱出したままで、括約筋さんたちを押しのけて、肛門括約筋不全の
原因となるのが、しっかり直腸脱さんですよ。 -
痔の原因編
痔は生活習慣病です。原因となる生活習慣が分かれば予防も可能です。また、お尻にやさしい生活習慣は健康維持にも役立ちます。
【二足歩行】二足歩行は人を進化させましたが、肛門のうっ血から痔を生みました。二足歩行はやめられません、痔と上手く付き合いましょう。
【便秘】硬い便にともなう過度のいきみは痔核(いぼ痔)の原因になります。また、硬い便は裂肛(きれ痔)の原因にもなります。
【下痢】激しい下痢の繰り返しは痔核(いぼ痔)・裂肛(きれ痔)の原因になります。また、下痢にともなう肛門陰窩から肛門腺への細菌感染は痔瘻(あな痔)の原因にもなります。
【排便時間が長い】洋式・和式を問わず、トイレに長い時間(5分以上)座っていると、肛門のうっ血から痔核(いぼ痔)の原因になります。
【暴飲暴食】食べ過ぎ・飲み過ぎによる腸内環境の乱れやお通じの乱れはあらゆる痔の原因になります。
【アルコール摂取】アルコールの摂りすぎによる肛門のうっ血は痔核(いぼ痔)の原因になります。また、アルコールにともなう下痢はあらゆる痔の原因にもなります。
【香辛料の摂りすぎ】消化されずに排泄される香辛料は、肛門の粘膜を刺激し、痔核(いぼ痔)・裂肛(きれ痔)の原因となります。香辛料にともなう下痢はあらゆる痔の原因にもなります。
【食物繊維不足】食物繊維不足やバランスの悪い摂取は、お通じの乱れ(便秘)となり、あらゆる痔の原因になります。
【ストレス】ストレスや疲労は、全身の血行を悪くして、お通じの乱れ(便秘・下痢)となり、あらゆる痔の原因になります。
【座りっぱなし・立ちっぱなし】長時間の座りっぱなしや立ちっぱなしは、肛門のうっ血から痔核(いぼ痔)の原因となります。
【体の冷え】体の冷えは、全身の血行を悪くして、痔核(いぼ痔)の原因となります。体の冷えはお通じの乱れ(便秘・下痢)となり、あらゆる痔の原因にもなります。
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保存的加療編
手術だけが痔の治療では、ありません。痔は生活習慣病です。ほとんどの痔は、内服薬と外用薬の組み合わせと生活習慣の改善で治ります。また、生活習慣の改善は痔の再発の予防にもなります。お腹とお尻にやさしい生活習慣を心掛けましょう。
出血・痛み・脱出など、痔が疑われる症状の原因が、大腸がん・大腸ポリープ・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)などの大腸の病気である可能性もあります。大腸内視鏡検査による確認も必要です。
症状の原因が痔であることが確認できれば、保存的加療を始めます。保存的加療を続けても、症状に改善がなければ、注射療法や手術も考えます。
痔のお薬には、内服薬と外用薬があります。内服薬には、出血・痛み・腫れなどの症状を抑えるお薬と便をやわらかくするお薬などがあります。軟膏・坐薬などの外用薬には、出血・痛み・腫れなどの症状を抑える効果と潤滑薬として便をスムーズに送り出す効果があります。
生活習慣の改善のため、生活指導(立ちっぱなしや座りっぱなしに注意・毎日の運動が大切・毎日の入浴が大切など)・食事指導(水分や食物繊維の摂取が大切・刺激物の摂取に注意など)・排便指導(便秘や下痢に注意・トイレは5分以内が大切)も行います。
早めの受診であれば、ほとんどの痔はお薬と生活習慣の改善で治ります。また、生活習慣の改善は、痔の再発を予防します。痔を疑う症状があれば、早めに専門医の診察を受けてください。また、大腸の病気にも気をつけてくださいね。
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注射療法(ALTA硬化療法)編
脱出する内痔核に硫酸アルミニウムカリウム水和物とタンニン酸を有効成分と
する注射薬を注射することで、脱出や排便時出血を改善し、痔核を硬化・退縮
させるのがALTA硬化療法です。手術と比べて、治療後の疼痛・出血などの頻
度や程度が軽いのがメリットですが、再発率が高いのがデメリットです。
注射直後から痔核は縮小し出血も改善しますが、痔核の硬化・退縮には1~2
か月を要します。また、組織レベルでの変化は半年ほど続きます。脱出する内痔核がALTA硬化療法の適応ですが、器質化を伴う内痔核や外痔核
を伴う内外痔核は適応外です。内痔核を痔核上極部粘膜下層・痔核中央部粘膜
下層・痔核中央部粘膜固有層・痔核下極部粘膜下層の4つのエリアに分けて注
射します(四段階注射法)。四段階注射法は難易度と合併症回避の観点から、
内痔核治療法研究会の四段階注射法講習会を受講した肛門領域に精通した
医師にのみ許された手技です。硫酸アルミニウムカリウム水和物による、血管透過性の亢進は血液を濃縮し
上直腸動脈から内痔静脈叢への血流を減少・停止することで、速やかに痔核
を縮小し出血を改善します。また、硫酸アルミニウムカリウム水和物は、炎症を
惹起し炎症の修復に伴う肉芽形成と繊維化で、痔核を硬化・退縮させ、脱出や
出血を消失させます。
タンニン酸は、過度の急性炎症を抑制することで、硫酸アルミニウムカリウム
水和物による組織障害を軽減します。主な副作用として、
発熱(7%)・血圧低下(3%)・頭痛(2%)・嘔気(2%)・食欲不振(2%)
などがあります。また、投与後合併症としては、
肛門部硬結(78%)肛門部疼痛(48%)・排便困難(21%)
などがあります。 -
痔核根治手術(分離結紮法)編
本間棗軒の「瘍科秘録」に記載のある華岡青洲の痔核結紮術に準じた痔核根治手術です。
術後の障害が少ないこと、術後の瘢痕が柔らかいことが特徴です。
手術方法
1 局所麻酔薬(0.5%キシロカイン)を患部と患部周囲に注射します。
2 内痔核を鉗子でつまみ、肛門外に脱出させます。
3 内痔核の内側から外痔核の外側に針で2本の黒い絹糸を縦軸方向に通します。
4 痔核組織を緊縛するように2本の黒い絹糸を横軸方向に結紮します(分離結紮)。
5 分離結紮を2回行い、痔核組織を切除します(分離結紮・切除)。
6 結紮部より抹消の残存痔核組織は1~2週間で壊死脱落します。
7 術後経過良好なら1~2か月で創傷治癒します。
術後経過
1 術後の痛みの感じ方には個人差があります。数日間の術後疼痛と数週間の軽い排便時痛が予想されます。
2 術後は患部からの数日間の浸出液や軽い出血と数週間の軽い排便時出血が予想されます。
3 術後の生活習慣や排便習慣が原因で予期せぬ肛門の腫れや創傷治癒の遷延を来たすことがあります。
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裂肛根治手術(振分結紮法)編
本間棗軒の「瘍科秘録」に記載のある華岡青洲の痔核結紮術にヒントを得た裂肛根治手術です。
術後の障害が少ないこと、術後の瘢痕が柔らかいことが特徴です。手術方法
1 局所麻酔薬(0.5%キシロカイン)を患部と患部周囲に注射します。
2 肛門ポリープを鉗子でつまみ、裂肛組織を肛門外に脱出させます。
3 肛門ポリープの内側から見張り疣の外側に針で2本の黒い絹糸を縦軸方向に通します。
4 裂肛組織を緊縛するように2本の黒い絹糸を横軸方向に結紮します(振分結紮)。
5 振分結紮を2回行い、裂肛組織を切除します(振分結紮・切除)。
6 結紮部より抹消の残存裂肛組織は1~2週間で壊死脱落します。
7 術後経過良好なら1~2か月で創傷治癒します。
術後経過
1 術後の痛みの感じ方には個人差があります。数日間の術後疼痛と数週間の軽い排便時痛が予想されます。
2 術後は患部からの数日間の浸出液や軽い出血と数週間の軽い排便時出血が予想されます。
3 術後の生活習慣や排便習慣が原因で予期せぬ肛門の腫れや創傷治癒の遷延を来たすことがあります。
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痔瘻根治手術(シートン法)編
本間棗軒の「瘍科秘録」に記載のある華岡青洲の痔瘻結紮療法に準じた痔瘻根治手術です。
術後の障害が少ないこと、術後の瘢痕が柔らかいことが特徴です。
手術方法
1 局所麻酔薬(0.5%キシロカイン)を患部と患部周囲に注射します。
2 痔瘻の外側(2次孔)から内側(1次孔)にゴムを通すための針と糸を通します。
3 通した糸にゴムを付け内側から外側へ針と糸を抜くことでゴムを通します(シートン)。
4 数か月毎にゴムを増し締め・交換します。
5 術後経過良好なら数週間~数か月で創傷治癒します。
※痔瘻の状態により創傷治癒まで数年必要なことがあります。
術後経過
1 術後の痛みの感じ方には個人差があります。数日間の術後疼痛が予想されます。
2 術後は患部からの数日間の軽い出血や数週間から数か月の浸出液が予想されます。
3 術後の生活習慣や排便習慣が原因で予期せぬ創傷治癒の遷延を来たすことがあります。
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これまでの実績(切らない痔の治療)編
痔の治療では、痔の状態をきっちりと診断し、痔の原因をしっかりと評価し、できるだけ切らないことが大切です。
痔の状態をきっちりと診断し、注射療法や手術で治療しても、痔の原因をしっかり評価できていなければ、再発から注射療法や手術を繰り返すことになります。痔の原因をしっかりと評価し、改善することができれば、注射療法や手術の適応ありの状態から、注射療法や手術も考慮や経過観察の範囲まで改善することもあります。
これまでの負荷のため、残念ながら注射療法や手術の適応ありの状態で注射療法や手術を施行した場合も、痔の原因をしっかりと評価できていれば、術後も再発のリスクを抑えることができます。
痔かもと思った時は、できるだけ早く肛門科を受診してくださいね。
- お腹とお尻の
診断チャート - 切らない痔の治療
- 痛くない
大腸内視鏡検査 - お腹とお尻に
やさしいお通じ