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大腸カメラは何歳から?何年おき? 約14,000件の検査経験から考える検査のタイミング

大腸カメラは何歳から?何年おき?

「大腸カメラは何歳から受けた方がいいですか?」

「一度受けたら、次は何年後に受ければいいですか?」

診療をしていると、よくいただく質問です。

症状やご家族の病歴、これまでの検査結果などによっても異なりますが、私は、症状のない方でも40歳をひとつの目安に、一度大腸カメラを受けることをおすすめしています。

その理由は、40歳の時点で大腸がんがないことを確認するとともに、将来の大腸がんにつながる可能性のある「腺腫」ができやすい方かどうかを知るためです。

2012年から約8,000人、約14,000件の大腸カメラを行ってきました

私は2012年から現在まで、約8,000人の方に、約14,000件の大腸カメラをすべて自ら行ってきました。

当院で大腸カメラを受けた方を年代別にみると、1個以上の腺腫が見つかった方の割合は、おおよそ次のようになります。

40代:約30%
50代:約45%
60代:約65%
70代:約80%

また、大腸がん(腺癌)が見つかった方の割合は、

40代:約1%
50代:約2%
60代:約3%
70代:約4〜5%

でした。

これらは一般人口における大腸がんや腺腫の発生率ではなく、当院で大腸カメラを受けた患者さんの院内データです。そのため、この数字がそのまますべての方に当てはまるわけではありません。

しかし、40代でも決して「まだ若いから大丈夫」とはいえないこと、そして40代ですでに約3割の方に腺腫が見つかっていることは、大腸カメラを受ける時期を考えるうえで参考になると考えています。

なぜ「40歳で一度」なのか?

40歳で大腸カメラを受ける目的は、大腸がんを見つけることだけではありません。

私が大切だと考えているのは、

「現在、大腸がんがないことを確認すること」

そして、

「自分は腺腫ができやすい人なのかを知ること」

の2つです。

当院のデータでは、40代でも約1%の方に大腸がんが見つかり、約30%の方に腺腫が見つかっています。

40歳前後で一度検査をすることで、大腸がんがないことを確認すると同時に、自分が今後どの程度注意して大腸をみていく必要があるのかを考える材料になります。

40歳で腺腫がまったくない方と、すでに複数の腺腫ができている方では、その後の大腸カメラの受け方も変わってきます。

ちなみに、私自身も40歳から大腸カメラを受け始め、現在も2〜3年ごとに検査を受けています。

国の大腸がん検診は「40歳から年1回の便潜血検査」です

ここは、大腸カメラと大腸がん検診を分けて考える必要があります。

国の大腸がん検診では、40歳以上の方を対象に、年1回の便潜血検査が推奨されています。

つまり、国が「40歳になったら全員が大腸カメラを受けましょう」としているわけではありません。

当院で40歳をひとつの目安に大腸カメラをご提案しているのは、これまでの検査経験と院内データから、40歳前後で一度大腸の状態を確認し、その後の検査間隔を考えることに意味があると考えているためです。

何もなければ、毎年大腸カメラを受ける必要はありません

大腸カメラで異常がなかった方が、毎年検査を受ける必要があるとは考えていません。

大腸内視鏡検査で異常がなかった場合、ガイドラインでは次回検査まで5年程度がひとつの目安とされています。

当院では、それに加えて年齢によるリスクやこれまでの院内データも考慮し、前回の大腸カメラで問題がなかった方には、おおむね次のような間隔をご提案しています。

40代:3〜5年に1回
50〜60代:3年に1回
70代:2年に1回

これはすべての方に一律に当てはめる基準ではありません。

年齢だけでなく、これまでの検査結果、ご家族の病歴、健康状態なども考慮して、その方に合った次回の検査時期を考えています。

腺腫が見つかった方は、まず1年後にもう一度確認します

一般的なガイドラインでは、切除した腺腫の数や大きさ、病理結果などによって、その後の大腸カメラの間隔が決められています。

当院では、それらを参考にしながらも、初めての大腸カメラで腺腫が見つかった方には、原則として一度、1年後の大腸カメラをご提案しています。

これは、すべての方に毎年大腸カメラを受け続けていただくという意味ではありません。

まず1年後にもう一度確認することで、その方が「腺腫のできやすい方なのか」を判断する材料にしています。

そして、もうひとつ理由があります。

大腸カメラは精度の高い検査ですが、万能ではありません

大腸カメラでは、検査を行う医師や検査条件によって、腺腫発見率(ADR)に差が生じることが知られています。

ADRは、大腸カメラの質を評価する重要な指標のひとつです。

当院でもADRを大切な検査指標として確認しており、現在は約45%です。

しかし、ADRが良好であっても、1回の大腸カメラですべてのポリープを100%見つけられるという意味ではありません。

大腸には多くのひだがあります。

腸管洗浄が十分でない部分があったり、検査中の腸の動き(蠕動)が強かったりすると、ひだの裏側などの死角に小さなポリープが隠れてしまう可能性があります。

どれだけ丁寧に観察しても、大腸カメラにも限界があります。

そのため当院では、初回検査で腺腫が見つかった方については、念のため1年後にもう一度確認しています。

1年後の検査で「腺腫のできるペース」をみます

1年後の大腸カメラで新しい腺腫がほとんど見つからなければ、その後は検査間隔を延ばすことができます。

一方、1年後にも複数の腺腫が見つかる方では、もともと腺腫ができやすい可能性を考えて、よりこまめな検査をご提案します。

特に当院では、50歳までに5個以上の腺腫が見つかった方については、腺腫ができやすい可能性を考え、その後も注意して経過をみています。

つまり、

一度の検査結果だけではなく、時間をおいてもう一度確認することで、その方の「腺腫のできやすさ」を見極める。

これが、当院が初回に腺腫が見つかった方へ1年後の検査をご提案している理由です。

その後は、腺腫の数、大きさ、病理結果、そして新しい腺腫ができるペースなどをみながら、おおむね1〜3年程度を目安に、その方に合った検査間隔を考えていきます。

定期的に検査を受けていても、大腸がんを完全には防げません

大腸カメラを定期的に受けていれば、大腸がんを100%防げるということではありません。

これまで当院では約8,000人の方に大腸カメラを行ってきました。

その中には、当院がご提案した間隔で定期的に大腸カメラを受けていたにもかかわらず、その後に大腸がんが見つかった方も10人前後いらっしゃいます。また、その中には進行がんで見つかった方もいらっしゃいます。

だからこそ私は、「一度大腸カメラを受ければ安心」とも、「毎年受ければ安心」とも考えていません。

最初の検査結果と、その後の腺腫のでき方をみながら、その方に合った間隔で検査を続けることが大切だと考えています。

40歳未満なら大腸カメラは必要ない?

40歳はあくまで、症状のない方が大腸カメラを考えるひとつの目安です。

血便や排便時の出血、便潜血陽性、これまでになかった便通の変化などがある場合は、年齢だけで判断することはできません。

私はこれまで、20代で進行大腸がんが見つかった患者さんも経験しています。

そのため、特に20代後半以降で出血を繰り返している場合には、「若いから痔だろう」と決めつけず、大腸カメラを検討してもよいと考えています。

もちろん、若い方の血便の多くが大腸がんという意味ではありません。

大切なのは、年齢だけを理由に気になる症状を放置しないことです。

「何歳から?」と同じくらい、「次はいつ?」が大切です

症状のない方なら、私は40歳を大腸カメラのひとつのスタートラインと考えています。

40歳で一度、現在の大腸の状態を確認する。

腺腫がなければ、年齢やリスクに応じて検査間隔を空ける。

腺腫が見つかれば、まず1年後にもう一度確認して、その方の「腺腫のできるペース」をみる。

そして、その結果から次の検査時期を考える。

大腸カメラは、全員が同じ間隔で受ける検査ではありません。

「何歳から受けるか」と同じくらい、「自分は次にいつ受ければよいのか」を知っておくことが大切です。

大腸カメラを受ける時期について迷われている方は、お気軽にご相談ください。