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「ポリープ切除率」と「腺腫処置率」は同じではありません

お知らせ

大腸内視鏡検査について調べていると、

「ポリープ切除率○%」

という数字を目にすることがあります。

数字が高いほど、たくさんの病変を発見しているように感じるかもしれません。

しかし、「ポリープ切除率」と「腺腫処置率」は同じ数字ではありません。

大腸がん予防という観点から検査の実績を見るためには、この違いを知っておくことが大切です。

切除したポリープのすべてが「腺腫」とは限りません

大腸内視鏡検査では、検査中に腺腫などが疑われるポリープを認めた場合、必要に応じてその場で切除します。

内視鏡では、ポリープの形や大きさ、表面の模様、色調などを観察しながら診断します。

しかし、最終的な診断は、切除したポリープを顕微鏡で詳しく調べる「病理検査」によって行われます。

病理検査をしてみると、切除したポリープの中には、

・腺腫
・鋸歯状病変
・過形成性ポリープ
・過誤腫性ポリープ

など、さまざまな病変が含まれています。

つまり、

「ポリープを切除した」=「腺腫を切除した」

ではありません。

ポリープ処置率は、腺腫処置率より高くなります

例えば、100人の方に大腸内視鏡検査を行い、そのうち70人で何らかのポリープを切除したとします。

この場合、ポリープ処置率は70%です。

しかし、切除したポリープを病理検査で調べた結果、実際に腺腫や鋸歯状病変などの前がん病変が確認された方が45人であれば、当院の定義による腺腫処置率は45%となります。

このように、

ポリープ処置率 > 腺腫処置率

となることは自然なことです。

ポリープ処置率だけを見ても、その中に実際の腺腫や鋸歯状病変がどれくらい含まれていたのかまでは分かりません。

大切なのは「何個切ったか」ではなく「何を切ったか」

腺腫や一部の鋸歯状病変は、大腸がんにつながる前がん病変です。

一方、過形成性ポリープや過誤腫性ポリープなど、基本的に大腸がんにつながらない病変もあります。

そのため、大腸がん予防という観点から大切なのは、

単に何人の患者さんでポリープを切除したかではなく、大腸がんにつながる前がん病変を、どれだけ発見し、適切に処置できたか

ということです。

ポリープをたくさん切除すれば、それだけで大腸内視鏡検査の質が高くなるわけではありません。

当院では病理検査の結果まで確認して集計しています

当院では、大腸がんの前がん病変である腺腫と鋸歯状病変を合わせて、便宜上「腺腫処置率」として集計しています。

これは、単に内視鏡検査中にポリープを切除した患者さんの割合ではありません。

切除した病変を病理検査で確認し、実際に腺腫または鋸歯状病変と診断された患者さんの実数をもとに算出しています。

したがって、過形成性ポリープや過誤腫性ポリープなど、前がん病変ではないポリープは腺腫処置率には含めていません。

当院では、このように病理診断まで確認した実数に基づく腺腫処置率を、大腸内視鏡検査の実績の一つとして公開しています。

「数字の大きさ」だけでなく「何を数えた数字なのか」を

「ポリープ切除率」という数字自体が悪いわけではありません。

ただし、

・どのような病変を切除対象としているのか
・何を分母としているのか
・病理検査の結果まで反映しているのか
・腺腫や鋸歯状病変をどのように集計しているのか

によって、その数字が意味するものは変わります。

そのため、定義の異なる数字を、そのまま施設同士で比較することはできません。

大切なのは、

「数字が何%だったか」だけではなく、「何を数えた数字なのか」まで確認することです。

大腸内視鏡検査の質は、一つの数字だけでは決まりません

もちろん、大腸内視鏡検査の質は腺腫処置率だけで決まるものでもありません。

大腸の一番奥まで確実に観察できているか、十分に腸管がきれいになっているか、病変を見逃さないよう丁寧に観察できているか、必要な病変を安全かつ適切に処置できているかなど、さまざまな要素が関係します。

また、小さな病変ほど見逃される可能性があります。

そのため、以前確認された小さなポリープが次回の検査で確認できなかったからといって、それだけで「自然に消えた」と判断することもできません。

当院が大切にしているのは、

ポリープをたくさん切除することではなく、大腸がんにつながる病変をできる限り見逃さず、必要な病変を適切に処置すること。

大腸内視鏡検査の数字をご覧になる際には、ぜひ「何%だったか」だけではなく、その数字が何を意味しているのかにも注目していただければと思います。

※当院の腺腫処置率は、病理検査で腺腫または鋸歯状病変と診断された患者さんの実数をもとに算出しています。